2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

阿呆陀羅経

阿呆陀羅経 あほだらきょう 〖口演芸系〗 〈阿呆陀羅経〉は、放浪僧が大道や門付で演じる俗謡である。江戸後期に出現、曲詞を変えながらも昭和初期まで、きわめて長い命脈を保った。 阿呆陀羅経では時事関連の「経文尽し」が主流で、これを願人坊主があたか…

アナグラム〔名称〕

アナグラム〔名称〕 ──めいしょう 〖アナグラム系〗 名称はたいてい短い音数であるから、手軽にアナグラムが作れる。たとえばタレントのタモリは本名が森田(一義)、姓をアナグラム+倒語化し芸名としている。推理作家の泡坂妻夫(あわさかつまお)は本名が厚川…

アナグラム〔戯句〕

アナグラム〔戯句〕 ── ざれく 〖アナグラム系〗 俳句や〈川柳〉など十七音構成のものは、名称と比べると〈アナグラム〉化が難しくなる。音数が増えるからだが、これとて作ってみるとなかなか妙味があって愉しめる。元句はよく知られたものであることが条件…

アナグラム/アナグラム〔暗号〕

アナグラム anagram 〖アナグラム系〗 ある語句のつづりを一字ずつに分解し、そのすべてを使って、まったく別の語句に仕立てるものを〈アナグラム〉という。簡単な例で「やまと」を「とやま」に、live(生)をevil(邪)に換えるといった遊びである。 アナグラム…

跡付

跡付 あとづけ 〖尻取り系〗 有名詩歌などの語句の尻の字または部分を次の文句の頭に置いて連ねていくものを〈跡付〉あるいは〈尻取り付廻(つけまわ)し〉という。古典にも次の説明がみえる。 江戸にては尻取り付廻しと云、京摂にては跡付と云有、句の下の詞…

当嵌め暗号

当嵌め暗号 あてはめあんごう〖謎なぞ系〗 暗号は通信内容を部外者に秘匿する目的で考案されたものである。その種類は、最も単純な〈当嵌め暗号〉から大型コンピュータを駆使したものまで多岐にわたっている。 暗号そのものが一定の法則に従い、言語を操作し…

当て字名

当て字名 あてじな 〖命名遊び系〗 当て字の言葉遊びの主流は〈当て字名〉ということになる。まず難読ものが優先される。たとえば鬱金香(チユーリツプ)、天鵞縅(ビロード)、錻力(ブリキ)、亜爾然丁(アルゼンチン)等といった文字列は、初めて目にしたときに読…

渾名

渾名 あだな 〖命名遊び系〗 当人の本名以外に、人物特徴などから他人が勝手に付けた名前を〈渾名〉あるいは〈又の名〉〈一名(いちめい)〉〈異名(いみよう)〉〈ニックネーム〉などという。本人にとってあまり歓迎したくない内容のものであるのが普通である。…

遊び絵

遊び絵 あそびえ 〖連想遊び系〗 「遊び絵」は江戸時代における娯楽用各種図案の通称で、絵柄の新鮮さ、着想の奇抜さで人気をさらった。絵そのものが謎解き材料や遊具になっており、これに理解を助ける詞が書き込まれている。この詞を〈遊び絵詞(えことば)〉…

遊ばせ言葉

遊ばせ言葉 あそばせことば 〖遊戯詞系〗 東京の山手夫人族や湘南有閑マダム連が権高に上品ぶり、語尾に「あそばせ」を付けて用いる言葉。 江戸時代に発祥し、転じて女の丁寧な言葉遣いとなった。式亭三馬作『浮世風呂』二・下にも「おあぶなうございますヨ。…

葦手絵

葦手絵 あしでえ 〖謎なぞ系〗 「葦手」とは平安時代の戯書画のことで、なかでも水辺の葦引き草叢に草、岩、松等風情に富んだ点描を添え〈判じ物〉としたものが〈葦手絵〉。〈水手〉〈葦手書〉の別称もある。 時代背景を反映させて、解を和歌に求めたものが…

アクロニム

アクロニム acronym 〖アクロスティック系〗 〈アクロニム〉は、一般に「頭文字語」と訳されている。いうならばアクロスティック・ネーミングである。 英名等の連らなる各語の初めの文字、あるいは最初の音節の文字を集め新語化したものといえる。たとえば、…

アクロス文句取り

アクロス文句取 ──もんくどり 〖アクロスティック系〗 一般によく知られた成句を軸に言葉をアクロスさせて仕上げる遊びを〈アクロス文句取〉と称することにする。出来たての遊びである。 かなり作りやすいので、創作難度を高めるため、主題にそった描写であ…

アクロスティック英語

アクロスティック英語 ──えいご 〖アクロスティック系〗 アクロスティック自体が英語なのに〈アクロスティック英語〉とは芸がないが、いちおう日本語作品と区別しての用語と理解していただきたい。本書では日本語言語遊戯が建前だが、アクロスティックにかぎ…

アクロスティック暗号

アクロスティック暗号 ──あんごう 〖アクロスティック系〗 秘密にしておきたい文句等を相手に送る場合に、手の込んだアクロスティック仕立てにしたものを〈アクロスティック暗号〉という。 アクロスティック暗号は日本でも〈折句〉として来歴が古い。村上天…

アクロスティック

アクロスティック acrostic 〖アクロスティック系〗 〈アクロスティック〉は形態に応じて次の二種類に分けられる。 〔シングルアクロスティック〕 single-acrostic 詞章の頭・尾など所定の位置決めをし、そこに意味のある語句を一字ずつ分解してつづり込む手…

悪名付け

昨日の大震災で被害にあわれた方へ、心よりお見舞い申し上げます。 荻生待也悪名付け あくめいづけ 〖命名遊び系〗 特定の集団の人々を対象に、からかいの通名を創作して付けること。 うだつの上がらない官僚を「木っ端役人」、自動車運転手を「運ちゃん」、…

悪態つき

悪態つき あくたいつき 〖口唱伝承系〗 口喧嘩となり思わず吐く激昂した言葉とちがい、洒落た口唱を意識して相手をののしることを〈悪態つき〉と称している。 日本人は悪態に対する罪悪感が薄い、と心理学や民俗学でも教えている。その証拠に全国各地に「悪…

曖昧言葉

曖昧言葉 あいまいことば 〖遊戯詞系〗 言葉の膠着性が弱まって意味がふやけてしまい、語義のとらえどころのない語句を〈曖昧言葉〉ならびに〈感性語〉あるいは〈的(てき)詞(ことば)〉といっている。文彩(修辞学)でいう「曖昧語法」というテクニックである。…

合言葉の遊び

あ 合言葉の遊び あいことばのあそび 〖遊戯詞系〗 いわゆる「合言葉」には二つの意味がある。 一つは仲間同士で目標や行動規範として掲げる標語。たとえば「われわれは禁煙をモットーとする」「あなたと私の合言葉、有楽町で会いましょう」の類で、おおむね…

艶笑遊び系(続き)

図▼いうなれば人体嵌め込みの戯景〔房事養生鑑、組物、絵師未詳、明和頃〕 「飲食養生鑑」などとも合わせ同類の奇天烈絵集『万事養生鑑』なるうちの一枚。房事戒についてくどくど絵詞(説明書き)が付いているが、絵を見ればおよそのことがわかる。 以上で系統…

文芸遊戯系統 艶笑遊び系

艶笑遊び系 えんしょうあそびけい 日の本は女ならでは夜の明けぬ国、最古の書『古事記』からして艶笑文学の嚆矢(こうし)である。いらい国文学のあらゆる分野の間(あい)を、色恋・濡れ事・つやごと・色戯・火遊び、そしてエロチシズムの舌先がいらうがように…

文芸遊戯体系 歌謡詞遊戯系

歌謡詞遊戯系 かようしのゆうぎけい 歌謡文学あるいは歌謡文芸に含まれる幅広い詞章を対象に、さらに言語遊戯性が色濃く表れているものを〈歌謡詞遊戯〉として総括した。これのほとんどが音曲詞で、その範囲も民謡・俗謡・流行歌から童(わらべ)唄(うた)など…

文芸遊戯系統 文芸遊戯系

文芸遊戯系 ぶんげいゆうぎけい 文学の芸文、という意味での文芸は、言語遊戯とは常に表裏一体の関係を保ちながら発展してきた。どの分野の文芸、どの作者の手になる作品でも、切口には言葉遊びが姿を現わす。遊びの範囲もじつに多様で修辞や弄辞が駆使され…

文芸遊戯系統 処世笑殺系

処世笑殺系 しょせいしようさつけい とかく渡る世間は鬼だらけ。腹立たしいことが多いけれども、人間、角(かど)たてて突っ張って生きても孤立するばかり。要らざるストレスもたまる。ならばいっそのこと、冗談や出鱈目で世の中をおちょくってやろう──こんな…

文芸遊戯系統 口唱伝承系/口演芸系

口唱伝承系 こうしょうでんしょうけい マスメディアが未発達だった昔は、いわゆる売り言葉を唱えて商いをした。神仏への祈りも口で唱えることで、霊験あらたかになると信じられていた。また娯楽が少なかった昔は、聞くほうも口承を遊びにに取りこんで、物真…

情報遊戯の図例