2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

文芸遊戯系統 情報遊戯系

情報遊戯系 じょうほうゆうぎけい 個人を中心とした情報送受にかかわる言葉遊びの一群を〈情報遊戯〉と総称することにする。これまで言語遊戯用語では公的に存在しなかった呼称だが、今日の情報化時代にむしろ設けてないほうが不自然の感があり、改めて新設…

文芸遊戯体系 遊戯詞系

遊戯詞系 ゆうぎしけい 世に「○○コトバ」という特定の意味をもつ言葉がたくさん存在する。古来さまざまな状況下で作られ、使われ、そして消え去った○○コトバを大辞典から入念に拾い出したら、おそらく一〇〇語は集まろう。 〈遊戯詞〉と仮称した系統語群は、…

命名(承前)

ここで命名の範囲について触れてみたい。 〈命名範囲〉つまり呼称の対象は、すでに多様な分野に見られ、限りなく増殖しつつある。参考までに、人名以外のそれら主なものを五十音順に列挙してみよう。 家=加盟、家号 階級=族称、属称 会社=社名、社号、企…

文芸遊戯系統 命名遊び系

命名遊び系 めいめいあそびけい 名付けを言語遊戯化することを〈命名遊び〉と総称している。なかには商品名などのように、遊びを離れて商業目的に使われているものもあるが、それとて形態上は言葉遊びの要素を多分に含んでいる。 姓名はじめ物名・商品名など…

文芸遊戯系統 数と計算の遊び系

数と計算の遊び系 かずとけいさんのあそびけい 〈数と計算の遊び〉は、言語遊戯のうち数・数字・計算が深く関与する領域を取りまとめた系統である。言葉遊びとしての奥行きは期待できないが、幅広い分野からいくつもの頭脳的遊戯が生み出されている。 遊びと…

文芸遊戯系統 文字遊び系

文字遊び系 もじあそびけい 言語遊戯のうち文字に関するものを〈文字遊び〉あるいは〈文字遊戯〉と総称し、一系を成している。 文字遊びは古代中国において「戯書」から発達した遊戯で、漢字がかかえる多様性を基にしたものだけに、漢字が主役である。ことに…

文芸遊戯体系 回文系

回文系 かいぶんけい 頭(かしら)から読んでも尻から読んでも同じ音で、どちらも無理なく意味が通じる語句や文章を〈回文〉という。古くは〈輪廻(りんね)〉ともいい、現代作品は〈アナグラム〉の系統にも属する。言語遊戯を代表する大系の一つであるが、仕上…

文芸遊戯体系 早口系

早口系 はやくちけい 正確に発音しにくい言葉や類似発音を重ねるなどして、一段と言いにくいように作り、その文句をいかに早く誤りなくしゃべれるか競う遊びを〈早口〉という。早口は同義語の〈早口そそり〉〈操り言葉〉〈早(はや)言(ごと)〉〈長言(ながごと…

文芸遊戯体系 連想遊び系

連想遊び系 れんそうあそびけい 山につれて川、初夢に連れて宝船というように、ある想念につられて関連する他の想念を想起することを「連想」といっている。独立した概念同士の、類似共通点を介しての結び付きである。 〈連想遊び〉は、この連想を言葉遊びに…

文芸遊戯体系 譬え系

譬え系 たとえけい 物事に比(よそ)えて表すことを「譬え」といい、その譬えに用いる言葉を〈譬え言〉という。 譬えそのものは修辞上の一技法で、物事の比喩の表現である。比喩を大別すると直喩(例=りんごのような赤い頬)と暗喩または隠喩(例=弘法も筆の誤…

謎なぞ(続き)

文芸遊戯体系 謎なぞ

文芸遊戯の体系 謎なぞ系

謎なぞ系 なぞなぞけい ある事柄を答として用意しておき、それを隠蔽した問を相手に発して、推察により答えさせる遊びを〈謎なぞ〉と総称している。言葉遊びの中では歴史が最も古く、「何ぞ何ぞ」と問うたのが語源である。この謎なぞ遊びをすることを「謎を…

文芸遊戯の体系 捩りとパロディ

捩りとパロディ系 もじりと──けい ことわざや詞章などの一部または全部を寓意的に同音異義語で差し替え滑稽を表現する技法を〈捩り〉という。語義は「捩る=捻じ曲げる」という動詞が名詞化したものである。捩りは英語のパロディに相当する。 捩りは〈地口〉…

文芸遊戯の系統 洒落系

洒落系 しゃれけい 「洒落」という言葉は、用いられる状況に応じて次の三重構造をもつ。 ⑴一般にいう洒落 気のきいた服装や格好よく見栄えのする言動をとる場合に用いる。→おしゃれなスタイル、しゃれた趣向 ⑵文学上の洒落 頓知・滑稽・風刺など笑いを誘うよう…

文芸遊戯の系統 秀句系

秀句系 しゅうくけい 「秀句」には大きく二義がある。一つは一般的に知られている歌俳や詩文の批評用語で、優れた作品そのものをさす。もう一つは、座興をはじめ芸能、あるいは中・近世の咄本(はなしぼん)などで、〈掛詞〉や〈縁語〉を用いて表現する滑稽を…

文芸遊戯の系統  尻取り系

文芸遊戯の系統 尻取り系

尻取り系 しりとりけい 前の句の尻の一〜三音を次の句の頭(かしら)に用い次から次へと言葉を連ね結んでいく遊びを〈尻取り〉という。普通二人以上の複数で順繰りに演じる。 語尾に「ん」の付くもの、先に出たもの名を再び使うことは禁じられている。言葉が出…

文芸遊戯の系統 無同字歌系/アナグラム系

無同字歌系 むどうじかけい 歌俳や詞章などで同じ字音を二回使わずにつづったものを〈無同字歌〉という。これの代表的な作品が〈いろは歌〉で、日本語の字音すべてを包括、二度使いしない究極の作品に仕上がっている。 無同字歌の発祥は古く、平安時代に成っ…

文芸遊戯の系統 音数遊び系

音数遊び系 おんすうあそびけい 音節数をあらかじめ決めておく、つまり音標表現の範囲に一定の制限を加える類の遊戯系を〈音数遊び〉という。和歌・〈狂歌〉〈都々逸〉俳句・〈川柳〉は言うに及ばず、電話番号やバーコードナンバーなども形態上は定数仕立の…

文芸遊戯の系統 アクロスティック系

アクロスティック系 acrostic 詩文・詞章で各行・各句の頭尾・あるいは特定箇所の定置文字をつづるとまとまった意味の文句になるものを〈アクロスティック〉と総称している。これは音節系遊戯の中核で、種類によってはパズル色が濃い。 そもそも〈アクロステ…

文藝遊戯の基本系統1 折句系

折句系 おりくけい 和歌・狂歌・俳句等の各冠(かんむり)(頭(かしら))や沓(くつ)など特定の箇所に配置された文字頭音をつづると、それだけで意味のある語句となるものを〈折句〉という。西欧でいう〈アクロスティック〉に相当、これの多くが〈冠折句〉または…

知的遊戯文芸 各系の構成目録

1.折句系 2.アクロスティック系 3.音数遊び系 4.無同字歌系 5.アナグラム系 6.尻取り系 7.秀句系 8.洒落系 9.捩りとパロディ系 10.謎なぞ系 11.譬え系 12.連想遊び系 13.早口系 14.回文系 15.文字遊び系 16.数と計算の遊び系 17.命名遊び系 18.遊戯詞系 19.…

「知的遊戯文芸総合辞典」公開ご挨拶

明日から新稿「知的遊戯文芸総合辞典」を公開します。 日本の文学・文芸遊戯全般にわたり総集した労作です。 文学・文芸に見え隠れする言語遊戯を再発見する上で格好の書になりましょう。ジャンルは広範な分野にわたり、豊富な図版ならびに用例を掲げて奥行…