文芸遊戯系統 艶笑遊び系

艶笑遊び系 えんしょうあそびけい
日の本は女ならでは夜の明けぬ国、最古の書『古事記からして艶笑文学の嚆矢(こうし)である。いらい国文学のあらゆる分野の間(あい)を、色恋・濡れ事・つやごと・色戯・火遊び、そしてエロチシズムの舌先がいらうがように彩ってきた。ことに江戸文学の爛熟期(十八〜十九世紀)、戯作や狂歌の流行にのって、艶笑文芸もわが世の春を歌う。性愛を存分に吸収した歌や詞章が、羞しげもなく大輪の下半身華を咲かせたのである。それにしても、江戸艶笑のなんと開けっぴろげで、おおらかなことか。明治以降今日に到るまでのエロチシズム不毛ぶりと対比すると格差に驚くばかりだ。題して〈艶笑遊び〉、この道を抜きにして大人の言葉遊びは成り立たないであろう。