当嵌め暗号
当嵌め暗号 あてはめあんごう〖謎なぞ系〗
暗号は通信内容を部外者に秘匿する目的で考案されたものである。その種類は、最も単純な〈当嵌め暗号〉から大型コンピュータを駆使したものまで多岐にわたっている。
暗号そのものが一定の法則に従い、言語を操作した結果生じる論理記号である以上、言語操作そのものである言葉遊びとは縁辺関係にある。そして暗号は理詰めの産物、との印象が強いが同時に、言葉遊びの妙味をもそなえている。ここでは最も単純な当嵌め暗号の古典作品を一例だけ掲げることにする。
なお、パソコンを使うと暗号遊びの領域は広がるが、「紙と鉛筆があれば楽しめる」本来の言葉遊びに外れるので、これの類は対象外とする。
【例】
字変四十八字の法(戦国時代)
いろは四十八文字と縦列・横列各数との組み合わせに基いて伝言を数字で表記するもの。替え字暗号(当嵌め暗号)でもごく初歩的な手法である。
↱ 一 二 三 四 五 六 七
一 い ろ は に ほ へ と
二 ち り ぬ る を わ か
三 よ た れ そ つ ね な
四 ら む う ゐ の お く
五 や ま け ふ こ え て
六 あ さ き ゆ め み し
七 ゑ ひ も せ す ん
例 原 文……と よ と み (豊臣)
暗号文……一七 三一 一七 六
六