文芸遊戯系統 口唱伝承系/口演芸系

口唱伝承系 こうしょうでんしょうけい
マスメディアが未発達だった昔は、いわゆる売り言葉を唱えて商いをした。神仏への祈りも口で唱えることで、霊験あらたかになると信じられていた。また娯楽が少なかった昔は、聞くほうも口承を遊びにに取りこんで、物真似を自慢しあったりする。
この口承を介して成立する情報遊戯の分野をひとまとめにし〈口承遊戯〉なる系統を設けた。音声系言葉遊びの主流をなすものである。〈祝詞〉をはじめ俗信の〈呪文〉〈呪歌〉などもこの系に組み入れた。ともあれ他系との区分け調整の結果設けた系統なので、一部に越境気味のものもある。

口演芸系 こうえんげいけい
〈口演芸〉または〈口演〉は音声による演芸であると同時に宣伝を兼ねている。役者の舞台口上は自己宣伝を含むし、往還商売・露天商から大道芸人に至るまで、賑やかな客寄せの宣伝文句から出発する。
 そこで口上や口演には宣伝効果を踏まえたうえでの工夫が見られる。現代広告でいうID(アイド)MA(マ)の法則(Interest=興味を引かせる、Desire=欲望を起こさせる、Memory=銘柄などを記憶させる、Action=買いや見物の行動を起こさせる)に従った仕掛けが随所に生かされるように到った。口上のうち最も効果的なのが洒落や捩りである。近代まで、まだ洒落を解する人たちの多かった時代、口上に洒落た文句を折り込むのは人寄せの鉄則とされた。