文芸遊戯系統 数と計算の遊び系

数と計算の遊び系 かずとけいさんのあそびけい
〈数と計算の遊び〉は、言語遊戯のうち数・数字・計算が深く関与する領域を取りまとめた系統である。言葉遊びとしての奥行きは期待できないが、幅広い分野からいくつもの頭脳的遊戯が生み出されている。
遊びとしての来歴も古く、上代すでに須佐之男(すさのおの)命(みこと)が、
 八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を
という、記紀歌でも最古の作品にみるように、数詞を畳語に巧みに折り込んでいる。
《参考1》
沢致貞数学ニ、算ト勘トノ二ツアリ、仮令ヘバ、十ノ物ヲ二人ニ等シク与フルニ、一人ニ五ツ宛ナリ、是ハ十ノ物ヲ二ヲ以テ割レバ知ル也、其十ノ物ハ、二ニテ割レバ知ルト云ハ勘也、扨二ヲ以テ割ルハ算也、此二ツヲ弁ヘ知ルベシ、勘有テ算知ハ、物無フシテ人ニ与ヘントスルガ如シ、算ヲ知テ勘無キハ、物有トイヘドモ与フルコトヲ知ヌガ如シ、故ニ算勘ハ相離ズト知ルベキナリ 『籌(ちゆう)算式(さんしき)』
《参考2》
                羅山口述
凡物の数は本来円きもの也、一より十と数ふれば長短あるやうなれども、九は数の極也、十に至れば又一となる、故に一十と云ふを過ぐれば、又十一と云ふ程に円きものなり、円き中におのずから長短もあるべし &『梅村載筆』人